この前とある地方の小児科の先生達とお話した。

　その地域の小児救急医療は壊滅状態らしい。

　基幹病院の小児科先生の多くはバーンアウト（燃え尽き）した。開業し当直から離れる人もいる。人が減っても補充ができない。輪番で当直を行っているが、担当病院もだんだん少なくなってきている。家庭に入った女医は、なかなか当直しようとしない（できない）。残った基幹病院の小児科医に負荷がどんどん掛かり、ついには燃え尽きてしまう。

　悪循環。

　厚労省も色々と考えているが、今のところ解決には至っていない。

　色々と書くと愚痴になってしまう。ひとまず終えよう。

　「ロッキード」を連想しては、年が知れるか。

　最近は節分で、大豆ではなくピーナッツを撒くことが多くなった。おそらくは衛生のためだろう。ピーナッツは外殻をはずすので、中身を汚さずに食べられる。

　しかし、幼児のいるところでピーナッツを撒くのはいただけない。ピーナッツには誤嚥（気管支に入る）事が考えられる。

　砕けたピーナッツ気管支にフィットする。ピーナッツ油で気管支が機械的炎症を起こす。そうなると、ピーナッツはなかなか外れることはない。むせる。細菌が入って肺炎の原因になる。
　取り出すのも大変だ。ふやけたピーナッツは最近の豆腐のようにグズグズしているので、そっと取り出したつもりでもさらに細かく砕けて奥へ入ってしまう。

　ピーナッツ入りチョコレートでも起こる。ソラマメでも起こりうる。

　防ぐのは周りにピーナッツを置かないのが一番だ。

　なんて素敵な響きだろう。生後半年くらいは母乳のみですべてがまかなわれれば、素晴らしいことだ。しかし、母乳が十分出ればの話である。
　残念ながら、母乳が十分出ない人もいるし、ある種の病気や薬のため（絶対禁忌は少数）、母乳をあげられない人もいる。そういった人たちに、どんな言葉をかけてあげればよいのか？

　個人的には、母乳指導とは「完全母乳」なのではなく「母乳を続けることが出来る」指導なのだと思う。完全母乳が続けられない人でも、負い目を感じなくてすむ指導をしていきたい。

　飛沫感染 droplet infection は咳やくしゃみの飛沫で感染する。感染範囲は大きく見積もっても2mくらい。
　空気感染 air-borne infectionでは飛沫はとても小さく、飛沫核と呼ぶ。5μm以下ということだ。見た事が無いので実感が湧かないが、かなり小さいということだ。小さな飛沫核は、重力に逆らい空中を漂う。それだけ周囲にも感染の危険性が増す。

　空気感染は、結核、麻疹、水痘（とりあえず3つ）。飛沫感染は、アデノウイルス、インフルエンザなどなど。他に接触感染というのもある（接触感染は結構厄介だ。これについては後で書くことにしよう）。SARSはどうなのだろう？

　この前のためしてガッテンで、色々なことを言っていた。なんでもインフルエンザウイルスは9時間は空中を漂っているという。

　ただし、換気をまったくしていない場合の話。インフルエンザの予防は、換気が大切だ。その他、マスク。当然の事ながら罹患者だけでなく、「そばにいる人」にも必要な処置だ。

　ためしてガッテンでは、NHKなのにタミフルの商品名が連呼されていた。頭痛い。

　製薬会社の営業担当者のことだ。一応医薬情報が主な任務のはずだが、やっていることは営業そのものだった。「だった」と過去形に書いたのは、何年も前の話。その当時は接待貢物「何でもあり」だった。
　今ではだいぶ変わってきた。公立病院はもちろんとしてさまざまな病院で「自粛」が行われている。製薬会社も経費削減のためそう接待をすることはなくなった。しかし、やはり接待を行うMRはいるし接待を要求（強要？）する医者もいる。
　なぜMRは接待をするのか？「接待をしないと、自分の会社の薬を使ってもらえなくなるかもしれない」という心理が働くからだと思う。医者の方も「こんなによくしてもらったのだから、その会社の薬を使わないと申し訳ない」と考えてしまう。実にウェットな人間くさい心理だ。
　医者とMRの関係は、もっとドライになった方がいいと思う。接待をなくしその分医薬情報に力を入れた方がいい。そのためには、大手（武田など）が率先して接待をなくすべきだ、なんて事をどこかの元MRさんのブログで読んだ。

　小児科関連で、MRさんがよく来るのは喘息の薬や抗生物質（ジスロマックやメイアクト、フロモックス・・）など。特殊なところでは成長ホルモンかな？
　喘息の治療はガイドラインにほぼ沿って行っているし、抗生剤もペニシリン系以外ほとんど出さなくなったら、MRさんがあまり来なくなった。

　よかった。貴重な時間を邪魔されなくてすむ。