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B型肝炎訴訟で5人全員勝訴 国に賠償命令 最高裁2006年06月16日20時19分 B型肝炎ウイルスに感染したのは注射器を使い回した集団予防接種が原因だとして、札幌市などの男性患者ら5人(うち1人死亡)が国に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が16日、あった。最高裁第二小法廷(中川了滋(りょう・じ)裁判長)は「集団接種による感染だった」として国の責任を認定。さらに、損害賠償請求権が消滅する20年の除斥期間が提訴時には過ぎていたという「時の壁」を適用されて二審で敗訴した2人についても「予防接種時ではなく、発症時から数えれば過ぎていない」と判断。5人全員の賠償請求権を認めた。 判決により、国に対する1人当たり550万円、計2750万円の支払い命令が確定した。 国内のB型肝炎の患者・持続感染者は120万~140万人と推計される。B型肝炎に詳しい飯野四郎・清川病院長(元聖マリアンナ医大教授)によると、うち、ほぼ半数は使い回しの注射器を使った注射など、医療行為による感染とみられるという。 今回の判決によって、幼少時の予防接種で感染したことが明らかなB型肝炎患者には、肝炎や肝硬変などを発症してから20年以内なら、国に賠償を求める道が開かれたことになる。 裁判の争点は、(1)感染は集団予防接種によるのか、別の原因か(因果関係)(2)最後の予防接種から20年以上経過したことで賠償請求権が消滅したか(除斥期間)の二つだった。 判決によると、51年ごろには注射針の連続使用により、血液を介してB型肝炎ウイルスに感染する危険性の医学的知見が確立していた。ところが、国が進めた予防接種では、50年の厚生省告示で1人ごとの注射針の取りかえが定められたにもかかわらず、注射器の交換や消毒について自治体を指導せず、連続使用を放置していた。 裁判で、国側は「一般の医療機関や日常生活で感染した可能性がある」と主張したが、第二小法廷は、集団予防接種のほかには感染原因となる具体的事実はうかがわれない、として因果関係を認めた。 次に、第二小法廷は、除斥期間の起算点を検討。(1)身体に蓄積する物質が原因で人の健康が害される場合(2)一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる疾病――など、加害行為から相当期間がたってから損害が発生する場合は、損害発生時から起算すると述べた。