金原出版株式会社の月刊誌「小児科」３月号（Vol.47 No.3. 2006）を読んでみると、なんとも納まりが悪く感じる。日本脳炎ワクチンのことだ。

　この号では「日本脳炎と日本脳炎ワクチンを再び考える」という特集を組んで、七編の論文を載せている。その多くが日本脳炎の今後の危険性と、日本脳炎ワクチンの必要性を説いている。

　黒部信一医師は最後の論文で、日本脳炎ワクチンについて「もう必要のないワクチンとなり、役割は終わった」と書いてある。

　この論文と同じものと思われる記事が、黒部医師自身のサイトにある。少し引用してみよう。

http://www16.ocn.ne.jp/~fukiages/new_page_10125.htm

　その仕組みは、利根川博士によって解明された。一つの遺伝子が断片となって存在し、それらを合成して抗体を作る。そして胎児発生の過程で胎児の細胞からリンパ球ができる際に遺伝子の配列に再構成が起こり、抗体遺伝子の構造が変化するという。一度獲得された免疫の記憶は、遺伝子によって一生残る。これが次の世代に受け継がれると筆者は推論する。それ故、世代を経るごとに感染しても発病率や後遺症率、致命率が低くなり、軽症化する。これが筆者のとる病原環境説または適応説である８）。

　つまり、抗日本脳炎ウイルス抗体は世代間で受け継がれており、日本人は日本脳炎ウイルスに対して十分免疫力があるということだ。

　しかし、「一度獲得された免疫の記憶は、遺伝子によって一生残る。これが次の世代に受け継がれる」というのは本当だろうか？

　なんだか、昔のルイセンコ論争を見ているようだ。

　本当に免疫の記憶は次の世代に受け継がれるのだろうか？教えてほしい。