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小児科医たちは、みんな、今までの長い年月の中で、経験で安全性を持って使ってきたものを併用できる道はないかと願っています。それが、先ほど山井さんもお取り上げになった小児科学会の会長の衛藤さんの、十七年六月二十六日の厚生労働省の結核感染課長の牛尾さんあての要望です。概して小児科医というのは穏やかですから、私自身はどうかはわかりませんが、小児科医はめったに強いことは言いませんが、ここの文章の中に、今回の措置は「「子どもに対して優しい」感染予防対策と言えるものでは到底ありません。」小児科医がこれだけの言葉を述べるというのは、物すごく決意が要ります。勇気が要ります。 子供にとって優しい予防接種行政じゃないと言われている今回の判断、厚生省がお墨つきを出して、でも、これは新しいワクチンだから、実はやってみなければ副反応はわかりません。またMMRの、この前みたいなことがあるかもしれません。そして、臨床現場で子供を守っている小児科医は、今までのものも使いたい、安全性が長い年月の中で確立したからと、望んでいます。
しかしその実施に当たり、国の提案される1期月齢12-18ヶ月、2期就学6ヶ月前の短い期間に限定することには、強く反対するものであります。その理由は、極めて狭い範囲のみ定期接種と限定することは、その範囲における被接種者数は現在よりも向上することが期待され、またそのように努力すべきであることは理解されますが、一方では、狭い期間に限定された範囲では医学的理由などから接種できなかった者、うっかりを含めて接種漏れとなった者などの感受性者の集積、そしてその間での麻疹の発生の持続が危惧されるからで「子どもに対して優しい」感染予防対策と言えるものでは到底ありません。
2回接種の導入には、科学的知見に基づく既接種者への安全性を確認の上、実施されることとなっていますが、当学会における麻疹及び風疹の定期の予防接種に係るMRワクチンの安全性についての見解は以下のとおりです。 自然感染あるいは生ワクチンによる麻疹、風疹などの免疫既獲得者(この中には免疫が成立しなかった者が極少数含まれる。)に対し生ワクチンによる重ねての免疫の投与が行われると 1)免疫のない者には免疫の成立 2)免疫の弱い者には免疫の増強 3)免疫を十分持つ者には無反応ないし弱い免疫反応のみが生じ、生体にとって不利な反応が生じることはなく、これらが安全に行われると考えることは医学的にも正当であり、また、これまでに世界的に広く行われていることでもあります。 多くの生ワクチンはウイルス抗原以外のワクチン液成分がほぼ同一であり、これまでにも異なる種類の単抗原ワクチン(例:麻疹ワクチンと風疹ワクチン等)を接種してきたことから、異なるあるいは同一の生ワクチンを重ねて接種することについての安全性については既に証明されているところです。 これまでにも学会、論文、あるいは研究班における発表などで生ワクチンを重ねて接種した効果と安全性に関する報告は多く存在します(最近発表された研究報告を代表例として別記します。)。 したがって、麻疹及び風疹の定期予防接種においても、生後12~24月及び5歳以上7歳未満の時期に、対象者にMRワクチンを2回接種することについての安全性については十分肯定しうるものと考えます。